人工弁置換術人工弁置換術 よく心臓は握りこぶしぐらいの大きさといいますが、それは本当の話らしく 子供は子供の握りこぶしぐらいの大きさしかないと聞きました。 そして、大人の人工弁置換はレジデントケース(研修上りのお医者さんでもできる)ですが 小児の場合はベテランの外科医でないとできない手術らしいです。。。 まず人工弁置換術をする前に修復可能な場合は、弁形成術を試みます。 自身の弁を人工弁に取り替えずに、弁の異常な部分だけを修復する手術です。 そして弁形成術が不可能だった場合、弁置換術となります。 人工弁には機械弁と動物から取った生体弁がありますが、赤ちゃんだったruneは、生体弁は不可能で 事前の打ち合わせで機械弁が準備してありました。 runeの場合、弁形成を試みたのですが成功せず、手術中に人工弁置換術に変更となりました。 人工弁の性能は非常に良好です。カーボン製のため磨耗はほとんど無く半永久的に使用可能です。 しかし、これから成長段階にある子供達は、体の成長とともに人工弁のサイズを換えなくてはなりません。 ですので成長が止まる大人になるまで、危険な手術を何度も(約2~3回)行なわなくてはならないのです。 人工弁置換術は弁を切除して人工弁を植え付けます。 胸の正中に縦約15cmの切開を行い、胸骨を縦切りします。そして心臓の弁を手術します。 心臓は常に働いていないと、生命が保てません。しかし弁の手術をするためには、心臓と血液の流れを止めて 心臓内部をすっかり空にしなければなりません。 そこでその代わりとして人工心肺装置を使用します。人工心肺装置を使用している間、内部の手術が可能となります。 人工心肺装置は心臓を止めている間、心臓と肺の代わりをして全身の循環と呼吸を維持する装置です。 このような操作に伴う心臓の筋肉(心筋)の障害を防止するために、手術中に心臓全体を外から氷で冷却し、 いわゆる冬眠状態にします。 2度目の手術で取り出された2年間愛用の人工弁。 先生にお願いしていただきました。 これは生後10ヶ月の時のものなので17mmですが 今runeに入っているものは23mmです。 小柄で運動嫌いな大人だったらいけるサイズです。 車一台買えるぐらいするらしいです。 人工弁は実は心臓によって作りだされた流れによって開き、又閉じるもので人工弁それ自体がいちいちモーター等で 能動的に開いたり閉じたりするものではありません。 人工弁を入れると、それでもう大丈夫だと考える方もいますが、手術前の長い期間に心臓の筋肉が痛めつけられ また肺の末梢組織が痛めつけられている方もいますから、弁を取り替えたからといって もうこれで安心と言うわけではありません。 仮に弁だけが傷害を受けていた場合は、殆ど普通の人と同じように生活出来ますが 既に心臓の筋肉及び肺の組織などが傷害を受けている場合は、いくら人工弁を取り替えたからといっても これらのものが元に戻るわけではないのです。 この為に手術を行う時期が非常に重要なポイントとなります。この時期を逸しますといくら弁の機能が良くなったとはいえ 充分な心機能を恢復することは出来ません。 人工弁置換術を行った際の問題点として1つ言える事は、術後にワーファリンの服用(血を魂りにくくする薬の服用)を 一生続けなければならない事です。 人工弁は異物であり、血液の中にこの様な異物が有ると血管内異物として血液が異物の周囲で固まってしまい 血栓症を起こす危険が有ります。 問題は、その固まった血液が、人工弁が動いた瞬間に身体中に飛んで動脈を塞いでしまう事です。 これを、血栓塞栓症といいます。血栓塞栓症がおこると、脳梗塞その他各種内臓の梗塞、手足の梗塞等が起こり この部分の組織が壊死に陥り、致命的な合併症となってしまうのです。これを阻止する為に ワーファリンの服用が必要なのです。人工弁置換術の患者さんは、人工弁とうまく付き合っていかなければなりません。 この為には、抗凝固療法および強心剤・利尿剤等の薬物療法をうまく組合わせながら続けることが必須条件となってきます。 |